社長ブログ
2014.11.08
ITシステム構築で考慮すべきこと
今回は、一括受託契約における「ITシステム構築で考慮すべきこと」を書きたいと思います。
通常、一括受託契約で、ITシステムを新たに構築する時の手順は以下のとおりです。
1.要件定義
システムの目的、機能、入出力するデータ(ファイルや帳票等)、システムの使用者、納期、予算、運用方法、前提条件などをITシステムを依頼する業者に提示する為のドキュメントを作成します。
[考慮点]要件定義があいまいだとシステムの開発が始まってから、大きく仕様が変更になり、納期遅延や追加予算の発生などの問題が出てきます。
2.発注先の決定&発注
コンペで発注先を決める場合は、複数の業者に要件定義書を提示して各業者の提案書と見積りをもらい、発注先を決定します。
[考慮点]この段階で業者から出てくる見積りは概算というレベルで、予算取りの為の見積りという認識でいた方がよいと思います。その為、見積りが多め、あるいは、少な目になっている可能性があります。業者によっては、見積り精度をあげるために仕様決定後に再見積もりをすることもあります。
3.システム設計~仕様・スケジュールの決定
決定した業者との打ち合わせを重ねて、業者に「仕様書」「スケジュール」を作成・提示してもらいます。この段階で初めて、システムの詳細(画面や帳票のイメージやプログラムの構成など)が見えてきます。
[考慮点]発注側は仕様書の内容をよく吟味して、開発にGOを出さなければなりません。ここで決まったことがシステムの完成形ですから、後で内容の変更や追加が必要になった場合、納期の遅延や追加予算の発生を招くばかりか、システムのバグの発生を招いたりします。それほど重要なステップです。また、スケジュールは想定外の事も発生することもあるので、余裕をもったスケジュールにしておいた方がよいでしょう。
4.システム開発(プログラミング)
業者がスケジュールに基づき、システムのプログラムを作成します。通常、複数の開発者がかかわる場合はサブ・システム(システムの機能毎のまとまり)ごとに並行して、システムを作成います。定期的な業者との打ち合わせで、その進捗やアウトプットを確認します。
[考慮点]業者からのアウトプットが実際に見えてくると、当初イメージしていたのと違うと感じることがあります。仕様書で提示されているものと違う場合は業者に指摘できますが、仕様書に提示されている通りであれば、業者には依頼しにくい状況です。ただ、発注側では業者のアウトプットを見て初めてその問題を認識することが多いのも事実です。システムにそれほど影響のない軽微な修正や追加であれば対応してもらえると思いますが、必須項目が足りないなどの問題は、データ構造にも関わってきますので、そのようなことがないよう「仕様書」の段階で十分チェックしておいた方がよいでしょう。
5.システムのテスト
システムの形ができてくると、業者側では当然テストをしますが、発注者側でのテストもしなければなりません。発注者側ではシステムの操作や使い勝手は勿論のこと、業務の内容に従い、現行のデータとシステムからのアウトプットが一致するかなどをすべて確認します。もし、想定した結果と違う場合は業者に指摘してプログラムを修正してもらいます。
[考慮点]このステップはシステムの完成度を高めるために非常に重要です。業者はプログラムの機能からの視点でプログラムをテストしますが、発注者は、業務の視点でプログラムをテストしてください。特に、部署や機能を跨るデータについて問題がないかを十分にテストしてください。テストが不十分だと後で苦労するのは発注者なのですから・・・
6.データ移行~並行稼働
プログラムにひととおり問題がない段階になると、本番稼働に向けて、現在進行形で発生するデータ(本番データ)をシステムに取り込まなければなりません。そして、現状の処理と本番データを使ったシステムの処理を並行稼働させて、結果の不整合がないかをチェックします。これで、問題が発生しなければ、晴れてシステムだけの運用(本番運用)が稼働できるのです。
[考慮点]システムをソフトランディングするための大事なステップなので慎重にチェックをしてください。
現行の処理とシステムへのデータの入力も同期をとって、並行して実施しないと意味がありませんので、並行期間中は手間が大変ですが、慎重に操作とチェックを実施してください。
もし、この段階で問題が発生したら、すぐに業者に対応してもらわなければなりません。小さな綻びも後で大変な結果に繋がることを肝に銘じてください。
7.本番運用
並行期間が無事終わり、システムに問題がなさそうなら晴れてシステムの本番運用となります。並行稼働していた従来の処理を中止して、システムのみの運用になります。
[考慮点]本番運用になってからでも、システムのバグが発見されることがあります。業者との契約で納品後のシステム不具合の無償対応期間が規定されている場合はその規定に従うことになります。通常、長くても6ヶ月程度です。それを過ぎると有償対応となりますので、納品後のシステムの運用に関しての問題は早めに業者に連絡してください。
8.全般
[考慮点]業者とのやり取りは、言った・言わないということの無いように、必ずドキュメントでやり取りしてください。できれば、メールではなく、Excelなどで案件台帳のようなものを作り、お互いに情報を共有できるようにしておいた方が問題点の把握や履歴がわかって、お互いに助かると思います。
以上、一括受託契約における「ITシステム構築で考慮すべきこと」を思いつくままに書きました。いろいろと発注側も大変だということを感じられたでしょうか?
弊社では、上記のような「一括受託契約」の問題点をなくすために、「定期契約」でのITシステム開発サービスをご提供しています。詳しくは、以下のページをご覧ください。